「お待たせしました。部屋の外に音が漏れない、特別な部屋の用意ができました」
ロルフさんたちと今度買うお家のお話をしてたら、ルルモアさんがお部屋の準備ができたよって帰ってきたんだ。
だからね、僕も一緒に行こうと思ったんだけど、
「ああ、ルディーン君はここで待っていてね」
ルルモアさんが来ちゃダメって。
「え〜、なんで? 僕のお話をするんでしょ?」
「ええ、そうなんだけど、お金の話もするからルディーン君に来てもらう訳にはいかないのよ」
だから僕、なんで? って聞いたんだよ。
そしたらさ、お父さんたちが僕にはお金のお話はしちゃダメって言われてるんだよってルルモアさんは教えてくれたんだ。
「お金はね、いっぱいあればいろいろなものが買えるようになるわよね?」
「うん」
「人によってはね、ルディーン君。そうやっていろいろなものを買っているうちに、もっと多くの物が欲しくなってしまう人もいるのよ」
お金はあると便利だけど、いっぱいありすぎるとおかしくなっちゃう人がいるんだって。
お父さんたちはね、僕がもしそうなっちゃったら困るから、ギルド預金にいっぱいお金が入ってても使えないようにしてねってルルモアさんに頼んでるそうなんだ。
「でも、もしギルドに預けているお金の量をルディーン君が知っていたら、その使える金額以上のものが欲しくなった時に何で使えないの? って思っちゃうかもしれないでしょ?」
「そっか。だからお父さんたちは、僕にお金の話をしちゃダメってルルモアさんに頼んだんだね」
「ええ、そうよ。だからルディーン君は、ここで待っていて欲しいのよ」
ここでルルモアさんたちと一緒にお話を聞くと、もしかしたらお父さんやお母さんに怒られちゃうかもしれないでしょ?
だから僕、お姉さんたちや深緑の風の人たちと一緒にこのお部屋で待ってる事にしたんだ。
■
ここからはロルフさん視点です。
「さて、フランセン老。ルディーン君はどんなとんでもないものを作り出したのですかな?」
用意された部屋に入り、それぞれが席に着くと早速冒険者ギルドのマスターが口を開いた。
ただ言葉こそ質問の形を取っておるが、その顔には本当にここまでして隠さなければならない事なのかと言う疑問がありありと浮かんでおる。
まぁ確かに、まだ8歳の子供が作り出した物じゃ。
普通に考えれば、今のこの状況は少々大げさに思えても仕方なかろうて。
「ふむ。改めて言っておくが、これは我が孫であるエーヴァウト、すなわちこのイーノックカウの領主であり現フランセン伯爵にも話してはおらぬ。それだけの秘密であるという事を心して聞けよ」
じゃがな、わしその一言で顔色が変わりおった。
それはそうであろう、本来なら我がフランセン家の利益を最優先に考えるべきわしが、その党首にさえ秘密にしておるという事なのじゃから。
「それは流石に……少々、聞くのが怖くなってきましたな」
「少なくとも、話が外に漏れればルディーン君をめぐって貴族同士が激しく争うなどと言う事さえ起こりうるじゃろう」
「そうですわね。特に一部の方々、いや少なくともこの世の半分の人々は心の底から欲するものでしょう」
うちのギルマスがわしの言葉にそう言って賛同したものじゃから、冒険者ギルドの二人は先ほどよりもさらに真剣な顔になっておる。
じゃがそんな二人に、ラファエルの奴がそれほど身構える事ではないと笑った。
「ヴァルトも錬金術のギルドマスターも、少々脅かしすぎであろう」
「そうですか? 伯爵はともかく、私が言った言葉はそれほど大げさでもないと思うのですが?」
「確かにその通りではあるが、ものには言い方というものがある。流石にこの世の半分の人々などと言えば、身構えるのは当たり前であろう」
ラファエルはそう言って笑うのじゃが、それでもギルマスの話を肯定したことで冒険者ギルドの二人の表情はいまだ硬いまま。
じゃが、流石に興味の方が上回ったのであろうな。
ルルモア嬢が、わしに向かって質問してきおった。
「フランセン様。ルディーン君は一体何を作り出してしまったのでしょうか?」
「ヒーリングポーションの一種じゃよ。ただな、その回復するものが少々厄介でのぉ」
「厄介と申しますと?」
「うむ。実はルディーン君が作りだしたのは二つあってな、それぞれが肌と髪の毛を回復するのじゃよ」
よほどすごい事を聞かされるのであろうと身構えておったせいか、ルルモア嬢はわしの言葉を聞いてもそれがそのような意味なのかが解っておらぬようじゃ。
ぽかんとした少々間の抜けた顔で、
「肌と髪の毛ですか?」
などと聞き返してきおった。
じゃがな、ギルドマスターの方は流石にその意味を理解したようで、顔が驚愕に染まっておる。
「フランセン老、それはまさか!?」
「うむ。ポーションの一つは使うと年老いた肌が若返り、もう一つはこれこの通り」
わしはそう言うと、隣に座っておったラファエルの帽子を取ってやった。
「光り輝いておったこ奴の頭でさえ、若いころのように髪が生えてきおった。どうじゃ? 一部の者たちからすれば、喉から手が出るほど欲しいと思うのではないかな?」
「たっ確かに、これはとんでもないものを作り出しましたな」
「そうであろう? じゃがな、問題なのはここからでのぉ。実はこの二つのポーション、今のところルディーン君にしか作りだす事が出来ぬのじゃよ」
「ええっ!?」
わしの言葉に、ルルモア嬢が声を上げる。
「そんな。そのポーションは、錬金術のギルドマスターであるバーリマン様にも作り出せないのですか?」
「ええ。この二つのポーションはかなり複雑な作りになっていてね、私や伯爵では作る事ができなかったわ」
これは流石に予想外であったようで、二人とも信じられないと言う顔をしておる。
それはそうであろう、こう見えてわしもギルマスも、この帝国内はかなり名の知れた錬金術師なのじゃから。
「そんなものをどうやって……」
「これに関してはもう一つ秘密があるのじゃが、こちらは流石に言うわけにはいかぬ。ルディーン君にも、決して誰にも話すではないぞと申しつけてあるからのぉ」
「ええ。これに関しては知る人は少なければ少ないほど良いですからね」
流石にルディーン君が秘匿スキルである鑑定解析を使える事は、以下に冒険者ギルドのマスターと重鎮と言えど話すわけにはいかぬ。
じゃがそれを話さずとも、先ほどのポーションをルディーン君しか作れないと言う事実だけでも大事である事が解ってくれたようで、
「大きな秘密は二つもポーションだけで十分。これ以上はわしとしても聞きたくはない」
「そうですね。フランセン様とバーリマン様が秘密にしておいた方がいいと申されるのであれば、聞かない方がいいのでしょう」
二人はそう言って、この話を終わらせてくれたのじゃった。
えっと、本当はもっと先まで書いていたのですが、実はここから先の1000文字以上を間違って消してしまいまして。(苦笑)
心が折れたので、すみませんが今日はここまでという事で。
まぁ過去には書きあがったすべてのテキストを保存前に消してしまったなんて事もあったので、それよりはダメージは少ないんですけどねw